
箸には日本の文化や日本人の気質が詰っています。日本人は「箸に始まり、箸に終わる」と言われるように、生後百日の「お食い初め」に始まり、毎日の食事で箸を使い、そして御仏前にはお供えの御飯に箸を立てて供養します。日本人にとって箸は、食物と人をつなぐ重要な役割を果たしていることはもちろん、日本の季節は古来24節季とされ、節句毎に箸にまつわる信仰や行事が全国各地に残っています。このような人生や季節の節目で大切な思いが込められる箸との関わりは大事にしたいものですが、徐々に忘れられているようです。私たちは箸に関わるものとして次世代に日本の大切な文化を残していきたいものです。「箸折々のことごと」では、そんな日本の箸にまつわるあれこれをまた楽しんでいきたいと思います。

日本の四季は、春・夏・秋・冬。その中に、「立春」や「清明」「白露」などの美しい言葉で示される「二十四節気」(にじゅうしせっき)という暦があります。 四季に恵まれた日本では、二十四節気によって、季節の移ろいを身体全体で感じ、 自然との共生をしてきたのです。そもそも二十四節気は、中国の漢の時代に農耕の基準として春夏秋冬のそれぞれの季節の中を6等分にして全部で24個に分けことから始まりました。農業の伝来と共に日本にも導入され、農耕の節目だけでなく、日本の生活の中で様々な歳事記文化が伝えられています。歳事記には「箸」も折々に登場し、暮しと箸の関わりの深さがうかがえます。


お箸の国の人として、最低限のお箸のマナーは知っておきたいものです。楽しく気持ちのよい食事場であるために「嫌い箸」と言われる昔からのお箸のタブーをご紹介します。
| ねぶり箸 | 箸についたものを口でなめることをいいます。 |
| 箸渡し | 箸と箸で食べ物のやりとりをすることで、火葬の後骨を拾う時の動作を連想し、縁起が悪いとされます。 |
| そら箸 | 食べようとして箸でとったものを食べずに元にもどすこと。 |
| 握り箸 | 箸の機能が果たせない初歩的な持ち方。また食事の途中でにぎり箸にすることは攻撃を意味します。 |
| 二人箸 | 食器の上で二人一緒に料理を挟むこと。 |
| 刺し箸 | 料理に箸をつきさして食べること。握り箸でこれをするとさらに不作法とされます。 |
| 迷い箸 | どの料理を食べようか迷い、箸を料理の上であちこち動かすこと。 |
| 指し箸 | 食事中に箸で人を指すこと。 |
| たて箸 | 死者の枕元に供える枕ご飯に箸を突き刺してたてる仏事を連想させてしまいます。 |